2022年1〜3月
巣立つ子供たち
今年も3月がやってきました(当たり前ですが)
入園してから一緒に過ごしてきた子どもたちが、残り1か月で保育園を巣立っていきます。
子どもたちは、「小学校へ行ったらね」「ランドセル買ったよ」と話題はつきません。
文字への興味も強くなり、自分の名前の練習から始まり手紙を書いたり、絵本を声に出して読む姿が見られています。
理事長先生が「時が来たら学んでいけばよい」とおっしゃっている通りだと、子どもの姿をみて実感しています。
みらい保育園の子どもたちは、一人一人が生き生きと遊んでいます。それは、活発に動き回るという事だけではありません。静かに佇んでいる子どもの視線の先には、年上の子どもの遊びや氷や虫などがあります。心の奥底に響くものがそこにあるのだと私は想像しながら佇む子どもを見ている時間が好きです。園庭でもお部屋でも、クラスの先生がいないところでドラマが起きているのです。
保育園時代は、たくさんの大人に見守られていますが、小学校は広い社会の始まりです。
困った時には自分から「助けて」と言えることが大切ですね。これは、子どもに限った事ではなく、私たち大人も苦しい時にヘルプを出すことが大事ですね。
コロナが始まり社会は大きく変化しています。変わるスピードもとても早いですね。
それでも、子どもの育ちを守り「生きる力」を十分につけたと思います。子どもたちは変わることを素直に受け止める柔軟な心を持っています。変えなくてよいこと、変わることでより良くなること、反対に変わることで悪くなることもあると思います。
良くしようという思いを持つことが大事なのではないかと、子どもたちから学んでいます。
31名が巣立つ日まで、毎日保育園を開き続けられるように、オミクロン株さん近づかないでね。
遊びや生活を通しての学び
今年の冬の寒さは、園庭に霜柱と池を凍らせて子どもたちに楽しみを何回も運んでくれます。
早番では、真っ白くなった砂場のシートをパッリッパリっと音をたてながら畳むと、男の子が来て、その下の砂がカチコチに凍りつき「固いよ〜」とシャベルを突き刺していました。
その隣では前日に掘った穴を覗いて「ああ〜、ハートになってるぅ」と女の子が大きな声で叫んでいました。10時頃になっても凍り付いた赤土を使って団子作りを始めたり、池の氷を集めて、溶けるしずくをバケツに集めていました。
夏には、冷たい氷が溶ける事を知った子どもたちは、今度はカップに水を入れて一晩おいて氷作りを始めています。感覚的に遊びから科学を学んでいるのですね。
このような感覚的な学びは0才から始まっています。窓越しに移る影や風に舞う葉っぱ、自分の影や鏡に映る自分、蛇口から流れる水とバケツにたまった水の感触の違いを体で感じることが、就学してからの学びに繋がっていきます。そこには、子どもに寄り添う大人の存在を忘れてはいけません。
遊びや生活を通して様々な学びをするときに、一人では喜びは生まれません。振り返ったり隣を見た時に、安心できる大人がうなずいたり、一緒に笑ったり驚いたり、悲しんだりする大人の存在が不可欠なのです。
私は丁寧な保育、子育てとは「子どもが助けて」と言ったときに必ず手助けをすることだと思っています。子どもが望んだ時に、望んだように少し手伝うことが丁寧だと思います。
大人だって、先回りされたりすると余計なお世話と思うのではないでしょうか・・・・
子どもだって、挑戦しようと思っているのに手をだされたら、やる気が無くなってしまいます。
自分の弱さを認めて、周りに助けてと言えることがこれからの社会では重要になるのではないでしょうか?コロナが去った後は、昔には戻ることはないと聞きます。
時代の流れをしっかりと見極めて、子どもにとって大切な事は変わらない、変えてはいけないものもあることを忘れずに、未来の世界でも自分を見失う事の無い大人になってほしいと願いながら、子どもたちの遊ぶ姿を見て幸せな気持ちになっています。
子供たちの読解力と語彙力について
新年あけましておめでとうございます。
今年は何に挑戦しようかな〜体力も増進させたいなあと頭の中でグルグルと考えを巡らせています。出来ることからコツコツと積み上げていこうと思います。
年末年始は家族とどのように過ごしているのでしょうか?
お正月には凧揚げて〜コマを回してあそびましょう〜という昔の風景は中々見られなくなってきました。日本の文化を保育園が子どもたちに伝える為に、年明けの園庭や公園では、手作りの凧を片手に走りまわり、コマ回し、羽根つきをし、保育室ではすごろく、かるたを大人も子どもも楽しんでいます。
以前は家庭であたりまえにしていたことも、保育園が担うことが多くなっています。
保育現場以外の当たり前も見直す社会になっていると実感しています。
PISA(学習到達度調査)の結果を見ると、数学的リテラシー及び科学的リテラシーは世界トップレベルですが、読解力についてはOECD平均より高いグループに位置しているものの、前回2015年調査よりも平均点及び順位が低下しています。(中略)文部科学省としては、これからの課題に対応し、児童生徒の学力向上を図るため、2020年度からの新学習指導要領の着実な実施により、主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善や、言語能力、情報活用能力育成のための指導の充実・学校における一人一台のコンピュータの実現等のICT環境の整備と効果的な活用・幼児期から高等教育段階までの教育の無償化・負担軽減による格差縮小にむけて質の高い教育機会の提供等の取り組みを学校、教育委員会等の関係者と連携・協力して推進してまいります。(令和元年12月文部科学大臣コメントから)
幼児教育にすぐさまPISA型学力が反映されるとは思いませんが、「読解力」の低下が続いていることは気がかりです。
乳幼児期の発達のエビデンスや論文を読んでいます。(科学的に乳幼児の発達が解明してきています)その中で、保育形態は子どもの語彙力と関係があることが共通しています。自由あそびの時間が長い「子ども中心の保育」幼稚園や保育所の子どもの語彙得点が高く、小学校準備教育として文字や計算、英会話や体操などを教えている一斉保育の幼稚園や保育所の子どもの得点が低いという得点が低いという結果が明らかになっています。
実際、私の園も一斉保育から子どもに寄り添った保育へ変化する中で、0歳から5歳まで子どもたちのおしゃべりが盛んになっています。7年前に担当していた1歳児は保育士が教えた言葉「ください」「おはようございます」「いただきます」「ありがとう」あとは、歌っている時くらいしか言葉を発していなかったような気がしますが、今は、様々な言葉を使って友達や保育士と話をしています。他の学年も同じく、言葉でのコミュニケーションが盛んに行われています。
300万語の格差を訳した掛札逸美先生の研修を受けて、私たち保育士の言葉使いの重みに気持ちを引き締めています。「人生の基礎は3歳までの言葉環境で作られる!」のですから責任重大です。「3つのT」とは脳(心)を育てる基本、関係を育てる基本を保育の中に取り入れていきます。